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狩り下り小瀬鵜飼(関市)
<2005年8月27日撮影>


鵜を操る鵜匠

<鮎之瀬橋>
 「鮎之瀬橋」という名の橋が関市小瀬地区を流れる長良川に架かる。その鮎之瀬橋から上流にかけてはひっそりとした岸壁と石場が広がり、深みと緩やかな浅瀬が入り交じりながら青々とした流れの風景が浮かび上がり、「小瀬鵜飼」の舞台となっている。鮎之瀬橋という名に惹かれ、これまで時々、小瀬鵜飼の河原を歩き、淵に仕掛けられた小魚を捕る筌(ウエ)やタライモを洗う木箱が回るのを見て楽しんできた。

 8月27日は土曜日の夕暮れ、関観光ホテルの展望大浴場に入り、あらためて小瀬鵜飼の河原を眺めるが、体全身がスーッと川に吸い込まれていくようだ。昔から小瀬地域で捕れる魚は「小瀬丸」と呼ばれ、味と香りを自慢してきたことや織田信長が稲葉城(岐阜城)を攻略するおり、小瀬の河原で<鮎の石焼き>を賞味したことなど少々、歴史情緒も巡らせた。

 展望風呂を出てからはホテルの庭から河原へ向かって歩こうとして気づいたのが鵜匠さんの家で、庭には鵜が飼われ、泊りの宿にもなっている。現在、小瀬の鵜匠さんが経営する宿としては「鵜の家 足立」と「鵜匠の家 岩佐」が一般には有名だ。

<暗闇に包まれて>

鮎料理
  関観光ホテルで鮎料理の夕食を食べ終えてからは、河原へ降りて屋形船「あいのせ丸」に乗り込んだ。時間は午後の7時、川面からの風をいっぱい浴びるわけだが、あまりにも気持ちが良くて思わず水の中へ手を入れるがその冷たさがまた格別である。

 屋形舟がゆっくり動き出し、やがて川の中央付近に止まった。対岸の岩肌は暗闇に包まれてしまい、周りからは何の音も聞こえない。岐阜市の長良川鵜飼の屋形船からは気色悪い看板の明かりや自動車のライト、ホテルの窓の輝きなどおよそ鵜飼には馴染まない明かりが余りにも目に入り過ぎる。

<狩り下りの魅力>
 上流からかがり火燃える鵜舟が下りてきた。

 船頭の軽妙な櫂(かい)さばきに鵜舟もまるで息をしているようで、ときどき船頭は櫂で舟ベリをトントンと叩く、鮎を脅すためだ。

 腰蓑(こしみの)に風折烏帽子(かざりえぼし)姿の鵜匠はやはり風格が漂う。鵜匠の手縄さばきに鵜たちは操られるだけではない、自分達で盛んに潜りながら鮎を捕らえようとする。

 人を乗せた屋形船は鵜舟といっしょに平行して下っていくのだ。小瀬鵜飼の最大の特徴は鵜舟といっしょに下っていく「狩り下り」にある。岐阜長良川の鵜飼はただじっと、屋形船に乗って鵜飼舟が下りて来るのを待っている。

 ちょうど鮎之瀬橋の下まで狩り下るのだが、鵜たちは元気がいい。潜り終えて水面に浮かんだ瞬間、咥えていた鮎がキラリと光るものだから、その姿に屋形船からは歓声が上がる。鵜匠は鵜を舟に引き上げ鮎を吐かせていく。確かに幻想的な風景だ。

 小瀬の鵜飼は5月11日から10月15日まで行われている。


船頭と鵜舟

鮎を吐かせる鵜匠
 

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