現代は道路もトンネルも早く目的地に到着すればいいだけのことを考えて造られている。
だから公道も“自分にとってのモノ”になってしまう。切り拓かれた街道の歴史などどうでもよいのである。
ひっそり眠る廃隧道の「門原トンネル」を眺めていると現代人の便利さのための都合ばかりが思い浮かんでくる。
「門原トンネル」は、大正4年(1914)に岐阜市の篠田義彦・敏司兄弟が地元の声望を担って工事を開始。水力発電の削岩機が使えず、手掘りで2年間の歳月を費やし、大正6年(1916)に完成した。
延長47m、高さ・幅がそれぞれ4・5mの手掘りのトンネルで、岐阜県下における道路隧道第1号の誕生だった。(中原ふるさと研究会・門原トンネル保存会資料参照)
<※隧道(すいどう・ずいどう)=トンネルの正式名称>

飛騨街道に夜明けを灯した門原トンネル |
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