益田の森と川 〜みんなの益田川を次世代に〜

2009年8月1日(土)号
羽根道楽とサツキマス料理
<09年5月撮影>


萩原羽根集落の「丸田屋」

<下呂萩原の酒呑みの酒>

山里を歩いていると働き者の「呑み助」衆と「遊び好き」衆が、昔から多く住み着いている集落の存在を聞かされるが、益田川のほとりにたたずむ下呂市萩原町羽根地区もたぶんにそんな雰囲気が漂う。

その羽根地区にある「丸田屋」という酒屋で「羽根道楽」という酒を買い求めることを毎年、楽しみにしており、今年も5月の中旬、立ち寄ってみた。何やら商品案内看板には地産地消を目的にしているかのように記されているが、早い話つまりは羽根集落に住まう連中が、<自分たちで飲む酒を自分たちでつくり全部飲んでしまおう>という根性で作り上げた酒であるらしいから、何となくネーミングに納得してしまう。

しかし、道楽ぶりは中途半端ではない。有志三十数人が担い手不足の三反二畝(さんたんにせ)の田んぼを舞台に、代かきから田植え、ヒエ抜き、稲刈りと一年をかけて育てることを楽しみ、地元の天領酒造に依頼して出来上がるのが「羽根道楽」である。まさに働き者の呑み助の血が流れていることを感じる。

「羽根道楽」は酒米「ひだほまれ」を使用し、純米酒にこだわっている。日本一の酒になれとばかりに愛情がこもり、口に含めばコクのある味わいがジワリ広がり、それは余分な味がないまさしく「酒呑みの酒」である。


丸田屋に並ぶ「羽根道楽」

「羽根道楽」四合ビン火入れ(左)と生(右)

<長良日置江の丸福寿司>

「羽根道楽」の四合ビンの<火入れ>と<生>をそれぞれ一本ずつ、袋に詰めて車の座席に乗せた。行き先は岐阜市日置江にある「丸福寿司」という寿司屋だ。国道41号へ出てから下呂温泉街を抜けて中山七里を南下、途中の金山町から関〜金山線へ入り岐阜へ向かった。

 
「丸福寿司」の水槽で泳ぐサツキマス
   

長良川が近くに流れる丸福寿司に着くと店の入り口の水槽には銀鱗(ぎんりん)と輝くサツキマスが悠に泳いでいる。羽島の川漁師、大橋兄弟が流し網漁で引き揚げたものだ。昨年は数が捕れず目にすることができなかっただけに、その泳ぐ姿に触れて胸が躍り嬉しさが込み上げる。丸福寿司の主人、清水孝宏さんから「サツキマスを料理します」と連絡が入っていたのである。

カウンターに座る。「羽根道楽」を二本、置いてみたが、「グッと冷やしましょう」ということになった。

 
オレンジ色を放つアルミトレーに乗った
サツキマスの切り身
   

さあ、大橋兄弟がとらえたサツキマスはどんな料理になって現れるのだろう。東海地区でもサツキマス料理が提供される店はあまりないだろうし、だからこそ食べる機会も少ない。「これ見てください」と清水さんが差し出したアルミトレーには、サツキマスの切り身が淡いオレンジ色を放ち乗っている。「きれいやね」と言うしかない妙な気品を感じてしまう。

「脂の多い魚です。この脂を活かさなければ旨いと言ってもらえない」サツキマス料理の極意を清水さんは主張する。

日本一の魚になれとばかりに長良川に育てられたサツキマスを、定番料理から洋と和の創作へと導く愛情料理を紹介しよう。どれも重みのある器に盛り付けられて登場し、甘い香りがフワーンと広がって表情は豊かに、「これぞサツキマス料理」とうなずくばかりである。

もちろん冷えた羽根道楽をともにしていただくが、洋メニューには<生>、和メニューには<火入れ>をグラスに注いでじっくり味わってみた。


サツキマスを調理する
丸福寿司のご主人清水孝宏さん

丸福寿司のご主人清水孝宏さん

<愛情のオンパレード>

【洋メニュー】

<サツキマスのカルパッチョ>    
  華やかに涼しけで見るほどに楽しくなる。トマト、アスパラ、刻み青ネギがやさしさを添えてくれて、洒落た酸っぱさに笑顔がこぼれる。
     
<サツキマスのコンソメスープ>    
  丸ドンブリの深みにはまったサツキマスは、たっぷりのコンソメスープの中に沈んでいる。そろりレンゲでスープをすすれば確かに脂の濃厚さが体に沁みていくようで、サツキマスの肉厚はブヨンとしたとろけ具合、にんじんとタマネギのやわらかさもちょうどいい。
     
<サツキマスのパスタ>    
  「どうだろう、サツキマスでパスタとは」思わずつぶやいてしまった。想像もできなかったが、想像以上においしい、全身をくすぐられる味わいである。
     

【和メニュー】

<サシミ>と<にぎり>
寿司屋にいるのだからサシミとにぎりは定番と思ってみたが、いざ、目の前に登場すると「エッ、なるほど」と普通ではない驚きが、、、。どちらも甘味があって膨らみ感に満足してしまう。
 
<姿煮>    
  サツキマスの姿がそのまま浮かび上がる姿煮は、高級感があって太ネギとサンショウが上品に添えられ、それはそれはサツキマスなのである。
     
<タタキ>    
  タタキとは如何に。タマネギと青ネギが交じり、かすかな緑色を帯びた枝豆入りの豆腐マヨネーズがかかっているのがおもしろい。
     
<サツキマスかけごはん>    
  アツアツごはんにサツキマスの刻みと納豆、山芋豆腐、鶉の卵がかけてあるのだが、どう見ても芸術性を感じる。とっさの思いつきメニューであるようだ。
     
<土鍋炊き込みごはん>    
  両手でしっかり抱かえねばならないほど重みのある土鍋は十分に熱くなっている。そっとフタを開ければ、香ばしい漂いに惹かれてしまい、焼かれたサツキマスの上品な散らばりに目を奪われる。
米は下呂市萩原町宮田で発見された粘りと粒の大きさが特徴である伝説の米「龍の瞳」が使用してある。味がしみ込んでこそサツキマスの炊き込みごはんであり、オシャモでおこげをすくえばまた、楽しい。
     

 

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